本事業は、東京駅周辺で最大となる敷地面積3.1haに及ぶ大規模複合開発内のビル開発です。計画地には、かつて江戸城の表玄関の常盤橋御門があり、明治以降も隣地に日本銀行本店が設置されるなど、歴史・文化資源が多数存在しています。また、計画地が面している日本橋川は、東京湾～隅田川～日本橋川～皇居へつながるエコロジカル・ネットワークの一部になっており、計画地は皇居につながる入口部の重要な位置にあることから、文化的にも、自然的にも非常に高い潜在価値を有しています。
　この価値を活用するために、東京都の「水とみどりあふれる豊かな環境を未来へつなぐまち」をもとに計画を進め、緑地の創出・整備、利用・管理について、さまざまな環境配慮の取組みを行っています。計画検討の段階から、設計者・施工者だけでなく、管理者も連携して、計画地の価値を理解した維持管理の検討が進められています。
　本計画は、東京圏の国家戦略特別区域計画の特定事業として、①東京駅周辺の日本橋川沿いの回遊性を強化する都市基盤の整備、②都市型MICE拠点、都市観光拠点の形成に資する都市機能の整備、③防災対応力及び環境性能の強化の貢献を意識しながら、「日本を明るく、元気にする」をビジョンに掲げ、プロジェクトを推進しています。
　空間・緑地の整備では、日本橋川沿いの「水と緑に満ちた憩いの空間」、大規模広場の「多くの人が集う交流空間」及び「沿道空間」を緑地に創出します。「水と緑に満ちた憩いの空間」では、計画地内の既存樹林（ケヤキ）の良質な緑空間を活かした豊かな緑陰のある憩いの空間（親水空間ゾーン）を創出します。「多くの人が集う交流空間」では、さまざまな活動に利用できる大規模広場の形成を行います。「その他の沿道空間」については、上位計画や計画地周辺の街路樹との調和に配慮しながら、高木列植により、オフィスの顔となる風格ある緑空間を創出します。
　SEGES評価・認定委員会では、日本橋川沿いの親水空間、既存樹林を活かした良質な緑空間を継承するだけはなく、建物と広場が一体となる「庭屋一如」を体現する空間を創出し、緑地空間の創出・再生、歴史・文化的資産の再生を通じ、地域の価値を高めている点を評価し、社会・環境貢献緑地に認定しました。

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